最初は、それとなく距離を置くようにしていていた。


だけど、智恵の勢いはとにかくすごくて…


あっという間にあたしが作った見えない境界線を飛び越え、気が付けば名前を呼び捨てにされるようになった。


もちろん、『のえる』って呼ばれないようにやんわりと牽制(ケンセイ)をしたけど、智恵には全く効果が無くて…


頻繁に同じやり取りを繰り返しながらも、彼女にだけは名前で呼ばれる事が定着してしまった。


そして、それは高校に入学した今も変わっていない――。