精霊の森

危なげに歩いていた少女は、ふいによろけて転びそうになった。
「巫女姫さま!」
それを隣にいた神官見習いらしき12歳ほどの少年が支える。
ふと疑問に思った。
神官たちは満月の日の夜に生まれた娘のことをいつも「巫女さま」と呼ぶ。
なぜあの娘だけ「巫女姫さま」なのだろう。
興味が、湧いた。
その時、私のなかに、存在というものが徐々に作られていくのをその時の私は気づいていなかった。