精霊の森

精霊は精霊同士で子を成せない。
しかし、精霊の森の民と契約することで、その民との間で精霊を産むことができるのだ。
あの少女もいつか、精霊と契約を交わし、森のずっと深いところで精霊の妻としてひっそりと暮らすのだろう。
運のいい子だ。
最高の名誉であり、精霊の森の民であれば誰もが羨む存在だ。
ただし、新月の日に生まれたものは羨みはしない。
新月の日に生まれた子は、他人になんの望みも、恨みも抱かない。
自分も知らないのに、他人の存在を認識することはできない……空虚であるから。