「私はルーナレシア……とっても、私らしい名前だわ。巫女姫さま、あなたの名前は?」
「私の名前はルーナフィアナよ!もっとも美しい満月が精霊の森全てを照らしたときに生まれたから。ねえ、私のことは巫女姫さまじゃなくてナフィって呼んでね。お願いよ」
「え……どうして?」
「だって、皆私のことを巫女姫さまって呼ぶのよ。名前を呼んでくれるのはガルニドとランジェだけだわ」
突然知らない名前に私は戸惑った。
それがどんな単語なのか最初はわからなかったからだ。
ルーナフィアナはすぐに話題をそらしてしまったので、それが名前であることを知ったのはだいぶ先のことだった。
「ルーナレシアの呼び方はどうしましょう?ナン?ナシア?シア……あ、シアンがいいわ。なんだかシエンと響きも似てるもの」
シエン、シエンとは精霊という意味の言葉だったはずだ。
「ねえシアン姉さま、私ね、新月の日はお外に出られないの。精霊とも会えないし……だから今こうして神殿から抜け出してるんだけど……。これから、新月の日は私に会いに来てくれる?」
私はルーナフィアナを部屋の窓に、気を付けて運んだ。
ルーナフィアナは危なっかしく部屋の中に入ると、そっと心配げに私を見つめてきた。
「ええ。新月の日にだけ、会いにいくわ。でも一つだけ約束。いい?私のこと、私が言った知らなかったこと、誰にも言っちゃだめよ。もし言ってしまったら、私と会えなくなっちゃうから……わかった?ナフィ」
「うん、約束よ。きっとよ」
「ええ、だから、今日はもうおやすみ。また月が一巡りしたら会いましょう、ナフィ」
ナフィは満面の笑顔でうなずいた。
私は来たときと同じようにまっすぐと帰った。
眠るとき、今まで経験したことがない、思い出を再生することに戸惑い、その日は寝るのにずいぶん時間がかかった。
「私の名前はルーナフィアナよ!もっとも美しい満月が精霊の森全てを照らしたときに生まれたから。ねえ、私のことは巫女姫さまじゃなくてナフィって呼んでね。お願いよ」
「え……どうして?」
「だって、皆私のことを巫女姫さまって呼ぶのよ。名前を呼んでくれるのはガルニドとランジェだけだわ」
突然知らない名前に私は戸惑った。
それがどんな単語なのか最初はわからなかったからだ。
ルーナフィアナはすぐに話題をそらしてしまったので、それが名前であることを知ったのはだいぶ先のことだった。
「ルーナレシアの呼び方はどうしましょう?ナン?ナシア?シア……あ、シアンがいいわ。なんだかシエンと響きも似てるもの」
シエン、シエンとは精霊という意味の言葉だったはずだ。
「ねえシアン姉さま、私ね、新月の日はお外に出られないの。精霊とも会えないし……だから今こうして神殿から抜け出してるんだけど……。これから、新月の日は私に会いに来てくれる?」
私はルーナフィアナを部屋の窓に、気を付けて運んだ。
ルーナフィアナは危なっかしく部屋の中に入ると、そっと心配げに私を見つめてきた。
「ええ。新月の日にだけ、会いにいくわ。でも一つだけ約束。いい?私のこと、私が言った知らなかったこと、誰にも言っちゃだめよ。もし言ってしまったら、私と会えなくなっちゃうから……わかった?ナフィ」
「うん、約束よ。きっとよ」
「ええ、だから、今日はもうおやすみ。また月が一巡りしたら会いましょう、ナフィ」
ナフィは満面の笑顔でうなずいた。
私は来たときと同じようにまっすぐと帰った。
眠るとき、今まで経験したことがない、思い出を再生することに戸惑い、その日は寝るのにずいぶん時間がかかった。



