とっさにその窓から一番近い木に登り、その木に飛び移ろうとした巫女姫を抱き留めた。
「あっ」
巫女姫は小さく驚きの声を上げた。
「誰?神官なの?ご、ごめんなさい。私……」
「神官じゃないわ。……でも、危ないわよ。巫女姫さま」
「神官じゃないの?じゃああなたはだぁれ?もしかして、森の外の人間なの?」
巫女姫の無邪気な問いに言葉が詰まった。
そして、考えに考えた末にやっと言葉が一つ出てきた。
「精霊の森の民だけど……名前はないわ」
「え!名前がないの?それじゃあなんて呼べばいいの?」
「え?うーん……」
自分がなかった私は、呼ばれることはできなかった。
だから呼び名なんて当然なかった……。
「それじゃあ、ルーナレシアって名前にしましょう!今夜は月がないから、あなたの名前は、ルーナレシア」
「ルーナレシア……『私』の、名前」
今まで耳にしたことはあっても、意味が分からずに使わなえなかった言葉を、初めて使った。
一気にいろいろなことがわかっていくのをなんとなく感じた。
そのとき、初めて……『私』が生まれた。
「あっ」
巫女姫は小さく驚きの声を上げた。
「誰?神官なの?ご、ごめんなさい。私……」
「神官じゃないわ。……でも、危ないわよ。巫女姫さま」
「神官じゃないの?じゃああなたはだぁれ?もしかして、森の外の人間なの?」
巫女姫の無邪気な問いに言葉が詰まった。
そして、考えに考えた末にやっと言葉が一つ出てきた。
「精霊の森の民だけど……名前はないわ」
「え!名前がないの?それじゃあなんて呼べばいいの?」
「え?うーん……」
自分がなかった私は、呼ばれることはできなかった。
だから呼び名なんて当然なかった……。
「それじゃあ、ルーナレシアって名前にしましょう!今夜は月がないから、あなたの名前は、ルーナレシア」
「ルーナレシア……『私』の、名前」
今まで耳にしたことはあっても、意味が分からずに使わなえなかった言葉を、初めて使った。
一気にいろいろなことがわかっていくのをなんとなく感じた。
そのとき、初めて……『私』が生まれた。



