好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕


「宮村ゆきさんの、イギリス留学が決まりました!」

教室中が一気にざわついた。

何よりも本人が一番驚いていた。

「先生、どうして?」

「あなたの素晴らしい成績と才能で、費用も全て免除されるのよ。これで迷わずピアノに打ち込めるわね!」

先生は喜びで彼女を抱きしめた。

しかし彼女は、どこか悲しそうに窓の外を見つめていた。


その視線の先には

教室のビルの外で、冬空の下、背中を丸めて待っている「カズ」の姿があった。