別に話せなくても満足だったけど、君が私の目の前を通りすぎようとした途端、なんだか気持ちがぶわっと溢れて、思わず


「あ、あたし、持ってるよ!」


と言っていた。


彼は、少し驚いた顔をして、


「え、まじで?」


と聞き返した。


「う、うん。たぶん」


鞄の中を探して、解答を取り出して彼に渡す。
緊張して、今にも手が震え出しそうだった。


「はいっ」


私から解答を受け取った彼は、凄く可愛い笑顔で、


「おー! ありがとー! 後で返すね!」


と言った。


「……っ!」

私は、無言で頷くことしかできなかった。


きゅう、っと、心臓が締め付けられる。


うわ、やばいな、これ。




*君がそんなふうに笑うから*

(わたしの心臓が、破裂してしまうよ)