不安は霧生をどう探すかだけじゃなかった。


お兄ちゃんに、また見つかるかもしれない。


前回は誘拐なんて嘘ついて、警察まで騙して使ってたくらいだから。


今回は何を使うんだろう?


見つかったら、自分はどうなっちゃうんだろう?


不安に不安が重なっていた。


尚吾には会いたくない。


だけど1人でいたら、不安に押しつぶされそう。


弱い自分を抱えて、重たい足を動かして外に出る。


不安に押しつぶされないように、何かで気持を紛らわせたかった。


そう思うと、自然に足が向かうのはゲーセンだった。


行けば尚吾が絡んでくる。


嫌だったけど、気晴らしにはなっていた。


なにも考えなくてすむから。


尚吾を嫌う事で不安をかき消していた。


その日もゲーセンに行くと、尚吾が寄ってきた。


「ねぇねぇ。オレ達、知り合って何ヶ月?もう、名前で呼んでもいいでしょ?」


尚吾は、いたっていつもと変わらなかった。


それなのに、あたしは自分の不安をどこにブツけていいか分らなくて。


「キモイ。ロリコン!!」


吐き捨てるように、思い切りニラんで言った。


その瞬間、尚吾の顔色が青ざめて行くのが分った。


周りにいたイケメン君も店員も聞こえていたのか?


一斉に顔色が青ざめた。


これで大人しくなると思ってた。


そのまま、気だるそうにゲーセンを出て行った。


---次の日からだった。