合計で¥922万


これだけあれば、当分は困ることない。


父親が家に帰ってくるまで残り15分。


急いで引き出して、自分の口座に移し変えた。


無事に移し変えができると、今度は最終の新幹線に飛び込み、尚吾達のいる街に戻ってきた。


ホテルも前回と全く一緒。


ここまで一緒にしておけば、完全に捜索網を逃れられると思った。


さすがに部屋は違うけど。


早速、前みたいに買い物に行って、暇つぶしに久しぶりにゲーセンに来てみた。


自動ドアが開いた瞬間、一斉に店員の注目を浴びた。


なにか、マズイのかと思った。


だけど、カウンターの隣にいた尚吾がうっとりした表情で、目を輝かせながらあたしを見ていた。


店員が一斉に注目したのも、尚吾が陶酔しちゃった顔してるのに、何か関係があるとピンと閃(ひらめ)くものがあった。



-----こいつら、グルだな。



尚吾から何か言われてたんだ。


今思えばお兄ちゃんに捕まる前、あたしを避けていた感じの街だった。


それに、久しぶりに来たら忘れられてそうなモノなのに。


これは、完璧に尚吾に何か言われてる。


それなら、なんとなくだったけど納得いく。


そう思ったら、ゲーセンにいるのが嫌になって足早に出ようとした。


「尚吾が心配してたよ。」


ニッコリと笑いながら、イケメン君が話しかけてきた。