一番安全なのは、前回お兄ちゃんに捕まった街。


まさか舞い戻るなんて考えないでしょ?!


当然、今回は父親のカードを拝借してきた。


だって、お兄ちゃんの隠されちゃったし。


父親の部屋の机の中に、カードが入ってるのは知ってた。


鍵はかかってたけど…壊した。


お兄ちゃんより、全然金額入ってるし。


いったん下り電車に乗り込んで、各駅で小額ずつお金を引き落とした。


そして、それを自分の口座に入れなおして。


あの父親の事だ、カードが拝借なんて分ったら、速攻ストップするのが目に見えてる。


窃盗の被害届まで出しそう…。


それなので、わざと反対方向の電車の各駅でお金を下ろした。


引き落とし支店名で足がつかないように。


大金を持ち歩くわけにいかないから、自分の隠し口座に入れなおす。


そうすれば、お金に困る事もないだろう。


何個か電車を乗り継いで、ひなびた山奥の温泉に着いた。


ここが最後の引き出しだった。