そうすれば、いつかは思い込める。



---お兄ちゃんが好きだって。



今より楽になれる?


---隙もできる。


きっと、いつかは逃げ出せる…?


逃げ出せなかったとしても、それならお兄ちゃんを好きでいた方が楽なんだろう。


自分の気持ちを誤魔化すしかなかった。



---その日の夜は、お兄ちゃんの帰りが遅くて。


わざと、お兄ちゃんの部屋で寝ていた。


お風呂に入った時、家政婦さんに、お兄ちゃんの部屋で寝たいと言ったから。


----困惑してたけど。


ベットに入ると、お兄ちゃんの匂いがして。


思わず気持悪くてむせてしまった。


でも、ここで諦めるワケにはいかない。


必死に堪えてると、いつの間にか寝てしまった。


何かが太ももの辺りをモゾモゾと動いているので目が覚めた。


寝ぼけた目に映ったのは、いつもと様子の違うお兄ちゃん。


「お兄い…。」


名前を呼ぶ暇も与えないくらい。


いつもの激しさじゃない。


何かをぶつけるような激しさで。


あたしの息遣いのテンポと…。


お兄ちゃんの息遣いのテンポがズレてる。


体のテンポは合ってるのに…。


こんなに、怖いくらいのお兄ちゃん初めてだ。