気がつくと、自分の部屋のベットの上だった。


部屋のドアには鍵がかかってて。


部屋の外には一歩も出られない。


屋根裏部屋でも窓は2つある。


光を入れる小さな窓と空気の入れ替えも出来る普通の窓。


だけど、飛び降りるには高さがありすぎる。


ビルの3階くらいの高さ。


屋根伝いに降りられるけど、滑り落ちたら真っ逆さま。


…どうすることもできない状態。


助けを呼びたくても友達はいなかった。


絢音のように騙すかもしれない。


裏切られるかもしれない。


信用なんてできる友達はいないから。


自分の中で諦めるしかなかった。



もう、お兄ちゃんから逃げられない…。



今まであたしの部屋に来る事も無かったお手伝いさんが、意味もなく廊下を行ったり来たりしてるのが足音で分る。


お兄ちゃんに言われて、逃げないか監視してるんだ。


それだけじゃなく、部屋のドアには監視カメラまでついてて。


多分、お兄ちゃんの部屋のパソコンで録画してるんだろう。


---あたしに許された自由はひとつ。


家出中の尚吾達の事を思い出して、現実逃避することだけ。