いつものように、ゲーセンに行こうとしていた。


「蒔宮紗羽ちゃんですね?」


見知らぬスーツ姿の男が2人声をかけてきた。


なんで、あたしの本名知ってるの?


ビックリしながら男達を見ると、スーツの内ポケットから2つ折の黒い手帳を出してきて。


「桜ノ宮署の森崎です。」


開いてあたしに見せた。


「同じく永峰です。」


まさか、お兄ちゃんが捜索願出した?


ガッシリと2人の警察官に腕をつかまれると、森崎がなにやら無線で話してる。


「無事、保護しました。」


保護?


「一体、何なんですか?」


「大丈夫。もうお家に帰れるから。」


家?…帰る気なんかないんだけど。


「どういう事ですか?説明して下さい!!」


「紗羽ちゃん、誘拐されてたんでしょ?」


誘拐?!


一体誰に?


「誘拐ってなんですか?あたし家出してますけど、誘拐なんかじゃないです。」


「えっ?!お兄さんが、誘拐されたと通報がありましたよ。」


やっぱり、お兄ちゃんだったか。


捜索届けより、誘拐と通報すれば確実に発見は早い。


捜査員の数も違うし。


そのまま覆面パトカーに乗せられて、桜ノ宮署まで連れて行かれた。