お兄ちゃんは、まだ帰ってなくて。


あたしは、お兄ちゃんが何かしたなんて考えられなかった。


無実である事を信じてた。


自分の中の不安要素をなくしたい。


お兄ちゃんの無実を証明したい。


コッソリとお兄ちゃんの部屋に忍び込んだ。


クローゼットの中も、机の中もベットの下も…。


机の下まで潜り込んでみたり。


部屋中探してみた。


だけど何も出てこなくて。


安心した時だった。


---ガツン!


潜り込んでた机の下から出ようとしたら、お兄ちゃんのパソコンに頭をぶつけた。


「いったぁ~い。」


パソコンが壊れてないか?


目を向けると、パスワード入力画面が映っていた。


「あたしの名前だったりして。」


クスッと笑いながら<SAWA>と打ってみた。


『パスワードが違います。』


その表示を見てがっかりした。


「あたしじゃないなら何だろう?」


なんか自分じゃない事にカチンときて。


なにが何でも、パスワードが知りたくなった。