どれくらい泣いていたのか?


涙の落ちる速度が徐々に遅くなった。


「…昨日、実家に帰ってたんだ。」


ポツリと話し始めた。


「冬槻先生が?」


「ああ。伯父さんの1周忌で。…家族だけだって話で、オレはこっちに残った。…それが間違いだった。」


あたしの手を握る力が強くなった。


「事故か何かに巻き込まれたとか?」


「…いや。」


霧生の口が重くなった。


「何があったの?」


霧生の手を優しく握り返した。


「…冬槻の妹から連絡来て…。」


「それで?」


「殺されたって…。乱暴されて…。」


「…………。」


言葉にならなかった。



あの冬槻先生が?


3日前まで笑ってたのに…。


頭が真っ白になって、霧生にかける言葉さえ見つからない。