「まったく来なくていいのに…。他の病棟行けよ。」


ブツブツ文句を言いながら、廊下を歩いていた。



---うちの病院は田舎だけど有名で。



内科・外科・小児科・産婦人科・脳外科・神経科・精神科・心臓外科・口腔科・救急救命…。


かなり手広にやってるらしい。


それだけじゃなく、ここのドクターが優秀で。


大体が日本で何番目とかってドクター。


だから有名なのもあるんだ。


だって地方からわざわざ、ここのドクターに見てもらいたくて来るし。


そこの院長が父ってだけで凄いんだろうけど。


あたしにとっては、父親なんて思えない。


勝手に娘の葬式あげてるくらいだし。


遠い親戚?


のような感覚。


半年くらい顔も見てないかも。


確か半年前に会ったのは…


なんて考えながら廊下を曲がった瞬間。


バチッと目が合った。


「あっ…。」


目が合った人の顔を見て、小さく声を上げた。


「…。」


その人は声すら上げない。


明らかに忌み嫌うような視線で、こっちを見てる。



周りにたくさんのドクターを従えて。