驚いて振り返ると、怒った顔のお兄ちゃんが腕を組んで立っている。


「ごめんなさい。友達の家で、宿題してて寝ちゃった。」


初めて、お兄ちゃんに嘘をついた。


だって、霧生の家で寝ちゃったなんて言えなくて。


何もないけど誤解されそうだから。


「そうか…。」


腑(ふ)に落ちない顔のお兄ちゃん。


「お兄ちゃんも早くない?」


「ちょっとね…。」


お兄ちゃんの手には車の鍵----。


もしかして、ずっと探しててくれたの?

どれくらい心配してくれたのか?


お兄ちゃんの気持ちを考えたら、凄い悲しくなって。


お兄ちゃんに、ギュッと抱きついた。


「ごめんなさい。最近、お兄ちゃん忙しくて寂しかったから。」


「そうだったのか。ごめんな、寂しくさせちゃって。」


いつもの優しいお兄ちゃんに戻った。


----その日は学校をサボって、お兄ちゃんも大学サボってくれて。


二人一緒に、ベットの中でずっとゴロゴロしていた。