彼氏いるって聞いて安心したんだ。


その彼氏が霧生だったのか…。


「そうだよ。幼なじみでね。」


凹んだのか?


ちょっと寂しそう。


「いつから付き合ってたの?」


「高校の2年から。実家が目の前だったから、生まれた時から一緒にいるけどな。」


「長くない?」


「まぁ…な。」


「なんで別れたの?」


「長すぎたんだよ。何でも知りすぎて。家族みたいになっちゃって。お互い好きかも分からなくなってた。」


悲しそうな顔をする霧生。



---チクリと胸が痛んだ。


「だからか。クビになってもいいなんて言ったの?病棟違っても、顔を合わせる機会あるし。気まずいよね。」


「まぁ…。」


一層、暗いオーラを放ってるよ。


「でも離れて、好きって気付いたんでしょ?」


「あぁ…。一緒にいるのが、当たり前になってたんだなって。」


完全に沈没。


「ねぇ、復活させてあげるよ。」


ニッコリ笑って、霧生の顔を覗き込んだ。


「復活って?」


目を丸くしてビックリしてる。


「やり直したいんでしょ?あたしが、手伝ってあげる。」


「手伝うって?」


「いいから、いいから。こう見えても学校じゃ、お見合いオバサンなんて言われてるくらいくっつけるの得意なんだから。」


ポンポンと霧生の肩を叩いた。


不安そうな霧生。


あたしは、たくらみの笑を浮かべながら自分の家かのように冷蔵庫の前に行くと、ビールを2本取り出した。


「前祝って事で。」


ビールを開けると、勝手に飲み始めた。


もう1本手にしていたビールをポイッと霧生に投げた。