尚吾がいなくなるってことが。


隣りにいるのが普通の事だと思っていた。


「唯ちゃんくらい仲がいいのが羨ましい…。」


にっこりと笑うその顔に、『ズキンッ』と良心が痛む。


「仲いいわけじゃないよ。いつも尚吾が絡んでくるだけ。」


ミュウの顔が、まともに見られない。


「絡まれるなんていいなぁ~。尚吾さんは、唯ちゃんが好きなんですね。」


…そんな寂しそうな顔で笑わないで。


「なに言ってるかな?…好きだったのは前のこと。今じゃ、どこの女の子と遊んでるんだか。最近は、あたしとなんて、口もきいてくれないんだから。」


自分の気持ちとは裏腹に、ミュウは励ましちゃうから…。


「そっか!!」


「そうだよ。ミュウにだって可能性あるし。尚吾、ミュウのこと気にしてたから。」


「本当ですか?!」


「うん!!それに、尚吾は心の痛みの分かる人間だから大丈夫。」


お姉さんがあたしに言ってくれた事を、そのままミュウに言ってる。


「じゃあ、ミュウは頑張って、尚吾さんのセフレになります!!」


鼻息荒く、両手でガッツポーズを決めた。


「違うでしょ?セフレじゃなくて、彼女狙わなきゃ。」


やっぱり、少し感覚ズレてるミュウに笑って突っ込んだ。


あたし、上手く笑えてるかな?


引きつりそうな顔を、一生懸命笑ってみせた。