………電波の届かない所におられるか、電源が入っていないためかかりません…。


電話から聞こえるアナウンス。


---秀が言ってた、連絡が取れないってこれだったんだ。


確かにおかしい。


尚吾の携帯が繋がらないなんて…。


絶対にあり得ないのに。


いつも、連絡がくるばっかりだったから、全然気付かなかった。


電話を切ると、深いため息をついた。


「…ごめん。どこかで女と遊んでるんじゃないかな?」


自分でも、ひどいこと言ってるのは分ってる。


だけど、ミュウに対して尚吾の件に関しては、棘がでてしまう。


こんなにも、あたしってば醜いヤツだった??


ひどいこと言いながら、優越感に浸ってる自分が分かってる。


それを、どうにも止められない。


ミュウを口実に、尚吾と何もなかったように会おうとしてる。


また、自己嫌悪のループにはまってしまう。


だけど、顔はいつものように平静を保ってる。


「尚吾さんくらい人気だったら、話せるだけで凄い事なんですけどね…。」


ため息交じりに言った。


「そうなんだ…。あたしは、あんまり尚吾の事とか知らないから。」


そんなに凄かったんだ…。


あたしが知り会った時から、いつもそばにいたし。


それが、当たり前だったのに。



…………………当たり前…………………



当たり前すぎて、気付かなかった。