「はぁ~い♪」


甘ったるいかわいい声が聞こえてくると、すぐにドアを開けてくれた。


「あれ?秀さんも一緒だったんですか?」


嬉しそうな顔。


「違うよ。秀とは偶然さっき会っただけ。」


「そうなんですか。」


あたしは、ミュウに真っ赤になった顔を見られないように、うつむきながらそそくさと部屋に入った。


「じゃあ、またね!!」


笑顔で手を振ると、秀はどこかに行ってしまった。


ミュウの部屋は、あたしのいた部屋とあまり変わらなくて。


部屋の真ん中のソファに座った。


「で、尚吾が帰ってこないって…。」


「はい。昨日の夜、唯ちゃんに呼び出されたって言って、そのままここに帰ってこなかったんです。」


…えっと、あたしに呼び出された?


お姉さんに呼び出されたんでしょ?


なんで、そんな嘘ついたんだろう?


嘘なんかつかなくていいのに。



それに…


ここに帰ってこない??


少し、ホッとしてる自分。


「ビルには帰ってないの?」


口調が、元気になってる。


「う~ん。分んない。」


泣きそうな顔をしながら答えた。


「分んないって。メールとかして聞いてみた?」


「知らないです。」


「聞いてないの?!」


ビックリしながらも、心のどこかで喜んでる自分がいた。


「はい。いつも、ここに来るからって、教えてくれなかったんです。」


今にも泣き出しそうな顔をして、うつむいてしまった。


あれ程、会いずらかったはずなのに。


「ちょっと待って。」


どこか喜んでいる。


スカートのポケットから携帯を出すと、尚吾に電話した。