「美優、みゆう…み・ゆ・う…ミユウ…。」


早口言葉のように、何回も口に出した。


パッと閃いた。


「あっ!!!!ミュウか!!!」


ミュウは舌っ足らずだから、『ミュウ』としか聞こえないんだ。


昨日は帰ってこなかったって…。


もしかして、尚吾のビルにいるの?


また、ドス黒い気持が渦を巻き始めた。


でも、くっつけるなんて言ったのはあたしなんだし…。


ズキリッと、痛みが胸に走る。


『件名  どこにいる?


本文 ----

今、どこにいる?』



簡単に返信した。


『件名 『G』

本文 ---

の部屋にいますよ☆』


すぐに帰ってきた。


気分は乗らないものの、大きなため息をつきながら『G』に向かった。


電車に乗りながら、いくら落ちてたとはいえ、何でくっつけるなんて言っちゃったかな?



----自分の行動に後悔。


『G』に向かうのも、少し足が重かった。


ミュウの部屋の前に着くと、隣の部屋から秀が眠そうな顔をして大きく伸びをしながら出てきた。


あたしの顔を見ると、ニッコリと笑って


「ちゃんと、昨日は頑張っちゃったよ!!」


なんて冗談言ってきた。


「が…頑張ったって…。」


口をパクつかせ、顔が真っ赤になってく。


「だって、頑張れって言ったのは唯ちゃんでしょ?」


「そうだけど…いちいち報告しなくていいし。それに、あれは言葉のアヤって言うか…。」


もう耳まで真っ赤。


「そうかぁ~。報告した方がいいかと思ってさ。」


完全に、からかってる。


「もうぉ、知らない!!!」


そう言いながら逃げるかのように、ミュウの部屋のドアをノックした。