お客さん用の部屋だったのか?


ベットと枕元に小さなテーブルがあって。


そこには、チューリップの形をした、可愛いスタンドライトが置いてあった。


ベットの中で、ボーっとライトの明かりを見ていた。


疲れてるはずなのに、全然寝つけなくて。


尚吾は、どれだけ軽蔑したかな?


お兄ちゃんに、居なくなったのバレたかな?


今度、連れ戻されたらどうしよう…。


不安で頭の中がいっぱい。


このまま、どこかに消えちゃおうかな…?


ベットから起き上がると、ゆっくりと部屋のドアを開けた。


リビングに行くと、尚吾と秀のお姉さん宛に手紙を書こうとメモとペンを探した。


月明かりで、なかなか探せなくて。



ガタッ…。



背後の物音にビックリして振り返った。


「唯ちゃん。寝られないの?」


お姉さんが、部屋から出てきちゃった。


「あ…あの。」


なんて答えていいのか?


「ねえ、ちょっとベランダに出てみない?」


手招きすると、リビングの大きな窓を開けた。


お姉さんの後に付いて行くように、ベランダに出てみた。


「すっごい!!!!」


目の前に広がったのは、夜景と満天の星空だった。


「冬の深夜にだけ、この景色が見えるのよ。」


あたしとお姉さんは、手すりに寄りかかりながら絶好の景色を見た。


「お姉さんは、ここに1人で住んでるんですか?」


なんとなく聞いてみた。


お姉さんの顔が曇ったのが分かった。