「なんで言わないんだよ…。」


尚吾の声が震えてる。


「言えないよ。」


あたしの声も体も震えてる。


「オレはこんな事くらいで、軽蔑も呆れもする男じゃねぇよ!!」


強く言い切るその言葉に、閉ざされた心に暖かい光が射した。


強く強く尚吾に抱きついた。


涙で言葉になんかならないけど、尚吾には全てが伝わった。


「何にもいらないから、オレが全部受けとめるから。一緒に帰ろう。」


その言葉に何回もうなずいた。


本当に悪に囚われた姫を助ける王子さまのよう。


ポケットからナイフを取り出すと、力いっぱい首輪を切った。