スピン☆オフ

「いろいろ話したいから、気にすることないよ。」


「いろいろって?」


「家出中どこにいたとか、あの尚吾とかいう男の所か?」


「違うよ。尚吾とは何もないよ。ただ、住むところとか面倒みてくれただけ。」


「彼氏なのに?」


「あれは嘘だよ。」


「嘘にしちゃ、仲が良さそうだったけど?」


「ほら、美緒ちゃんとかに変な誤解させたくなかったし。」


本当の話なのに、たどたどしくなっちゃう。


「じゃあ、もう家から出る必要ないな。」


カプッと耳を噛んだ。


「ひゃっ…。」


ガクリと腰が抜けた。


そのまま抱き上げれると、あたしの部屋まで連れていかれた。


ベットに寝かされ、指でなぞるかのように髪から唇へ撫でられた。


指の感覚がジンワリと体中に広がっていく。


細胞ひとつひとつが覚えているこの感じ。


飢えていた砂漠に水を与えているかのよう。


心とは反対に肌が吸い付くように求めてる。


お兄ちゃんのキスが…

お兄ちゃんの動きが…


全部がパズルのピースが埋まるように、インプットされている。


心では気持悪くて仕方ないはずなのに、体が求めてしまっていた。


この感覚でなければダメ。


貪るようにお兄ちゃんの全てを飲み込んでいく。