スピン☆オフ

操られてるみたいに、体が勝手に部屋に入ってしまう。


何かに引っ張られているような感覚。


心臓はバクバクと脈打ってる。


「こんな時間に寝られないのか?」


まるで、夢でも見ているかのよう。


昔の優しいお兄ちゃんがここにいる。


今までの事が悪夢でしかなかったかのよう。


「降りてきたら、電気ついてたから。」


「心配させてちゃったかな?ちょっと調べ物してただけだから。」


「あっ…邪魔してごめん。」


「大丈夫だよ。」


優しく髪を撫でた。


どうして急に別人みたいに変わっちゃったの?


「お兄ちゃん。なんで怒らないの?」


「怒る意味が分からないよ。紗羽は、お兄ちゃんが嫌いでいなくなったワケじゃないだろ?」


そう言うお兄ちゃんの顔を見た時、全身に悪寒が走った。


…目が笑ってない。


「これ以上お邪魔しちゃ悪いから、もう寝るね。」


部屋を出ようとした途端、バタンと後ろからお兄ちゃんがドアを閉めた。


「久し振りに帰って来たのに、そのまま寝ちゃうんだ。」


怖くて振り返れない。


「だって…調べ物の邪魔しちゃ悪いから。」


多分…声は震えてる。