それは、あたしが同級生の男の子に告られた事から始まった。


ちょっと天然で、優しくてサッカーが上手くて。


女の子には、それなりに人気があった。


でも、あたしには大好きなお兄ちゃんがいたから。


当然断ったけど…。


お兄ちゃんに話したら


「紗羽は、可愛いからモテるんだな。」


なんて、笑ってたはずなのに。


---それは突然だった。


断って数日後。


その男の子が病院に運び込まれた。


断った相手とはいえクラスメイト。


心配をしないはずがない。


お兄ちゃんも側にいてくれて。


「大丈夫だ。きっと助かる。紗羽の大事な友達だろ?何とかしてくれるよ。」


励ましてくれた。


「ありがとう。お兄ちゃん…。」


あたしだけじゃなく、手術室の前で泣き崩れる男の子の家族。


「大丈夫ですから。」


そう励まし続けてて。


この時お兄ちゃんがいてくれたことが、どんなに嬉しかったか。


3時間に渡る手術だった。


最善を尽くしたが、その男の子は亡くなってしまった。


…死因は事故死。