スピン☆オフ

霧生はあたしの顔を見ると、バスルームに入っていった。


あたしは、ソファに座りながら、コーヒーを飲みながらどうやって話そうか?ずっと、考えていた。


数分すると、霧生も着替えてバスルームから出てきた。


「服、乾燥機にかけてるから。」


「…う……うん…。」


やっぱり、緊張で言葉なんか出てこない。


霧生は、あたしの隣に座ると、大きくため息をついた。


「…学校は?」


「…行ってない。」


「行ってないって?」


「…あ…ああ…家出中?」


首をかしげながら、とぼけて質問するように返した。


すると、霧生の眉間がピクリと動いた。


「家出だ?!中学生が、何考えてるんだ!!!」


耳を突き刺すような怒鳴り声。


「だって…あんな家に居たくなかったんだもん!!!」


あたしも負けじと立ち上がり、大きな声で言い返した。


「あんな家でも、お前の親や兄妹だろ?!逃げたって、何にもならないんだ!!!」


「霧生だって…霧生だって逃げたじゃん?!今まで、どれだけ心配したと思ってるの?急にいなくなって…あたし…あたしは…。」


大粒の涙が、言葉を止めてしまった。


悔しさと悲しさと。


今までの事が、全部頭の中でフラッシュ・バックした。


「オレは現実を受けとめるには、酷すぎただけだ。」


急に目を逸らし、うつむいてしまった。