スピン☆オフ

やっと…


やっと、霧生に会えたんだ!!


霧生は泣き崩れるあたしを、部屋の中まで連れていってくれた。


あの頃よりも、部屋の中は広くて。


広めのワンルームとはいえ、大きなクローゼットが2つもある。


それに、ワンルームなのにカウンターキッチン。


ソファとベッドとテレビと…。


家具は、やっぱり少なかった。


ソファに座ると、霧生が急いでタオルを持ってきてくれて。


雨と涙でグチャグチャな顔。


霧生は、何も言わずに優しく拭いてくれて。


それがまた、チクリと胸が痛んだ。


何を話し始めたらいいのか?


頭の中もグチャグチャ。


沈黙の続く、2人の空間。


「これに着替えろ。カゼ引く。」


霧生が、クローゼットからハーパンとTシャツを出してくれた。


「…あ…あり…がと…う。」


まだ、緊張して上手く話せない。


渡された服を持って、バスルームで着替えた。


霧生の服は、あたしには大きすぎて…。


ハーパンが膝下20cmくらいある。


ひょっこりと、廊下のドアから顔を出すと、あったかいコーヒーがテーブルの上に2つ置かれていた。