綾瀬唯としてのあたしの誕生記念は、終始ボーッとしていた。


頭の中は霧生の事で一杯で。


あのコンビニのお兄さんみたいに、怒鳴られるかもしれない。


だけど早く会いたくて、いろいろ聞きたくて仕方なかった。


あの後、どこで何してたの?


どうして居なくなってしまったの?


今は何をしてるの?


彼女は?


質問ばかりが浮かんでくる。


適当な時間を見計らって尚吾に泣き付かれながらも、急いでホテルに帰った。


シャワーを浴びてベッドに寝転がるけど、霧生に会える嬉しさで明け方まで眠れなかった。



-----朝9時。


完璧にメイクして、入り口の大きな鏡で全身をチェックする。


まるで大好きな人と、初めてのデートみたい。


昨日、秀にもらった住所の書いてある紙をバックに入れて、軽い足取りで駅へ向かった。


霧生の住んでる所は、電車で2時間の所。


今のあたしの住んでいる街より大都市。


これじゃあ全然分からないはずだ。


もっと早く電車走らないかな?


電車の窓の外を見ながら、気持ちは焦っていた。


待ちに待った霧生の住む駅に着くと、早足で改札から出た。