「ん!?…秀??」


ポケットに手を突っ込みながら、ニッコリ笑って秀が立っている。


急いでドアのチェーンと鍵を外すとドアを開けた。


「よっ!!どうしたかと思ってね。」


ニッコリ笑いながら部屋に入ってくるその顔に、あたしはボーゼンとしていた。


だって、ここのホテルなんて教えてないのに…。


「どうして、ここが分ったの?」


「う~んとね、ここで働いてるお姉さんと、前に一晩ご一緒してね。」


「だからって、あたしがいるの知らないでしょ?」


「ここ最近、顔見ないから心配でさ。ちょっと調べたら、ここに居るって分ったから。」


ニカッと笑うその顔に、怒る気にもなれない。


だって、母性本能に訴えるような顔なんだもん!!!


いたずらっ子のような、カッコいいような…。


「それで?何の用事ですか?」


ベットに座ってる秀に、危なさを感じ向かいのソファに座った。


「尚吾が心配してたっつうか?落ち込んでたからさ。」


一瞬にして、頭の中にあの時の事が思い浮かんだ。


「それは、自業自得じゃん?!」


つぶやくように言った。


「アイツさ、好きになっちゃうとそれしか見えないんだよ。だから許してやってよ?」


「そう言う問題じゃなくて…。」


言えるはずなんかなかった。


お兄ちゃんに教え込まれた体のことなんて。


きっと汚い物のように見られる。


こんな体じゃ面白がられて、セフレにされて終わりじゃん?!


そんなの絶対にイヤ。