スピン☆オフ


彼氏は辞めてしまった後だった。


「心残りがあったんだろうが、オレがイロイロ調べてる間に、一度町に戻ってきてそれ以来消息は分らなくなってて。近所のおばさんの話じゃ、お姉さんの彼氏はショックのあまり自殺したって言ってた。」


今にも消えそうなお兄さんの声。


あたしの体は、震えて止まらなかった。


あたしの知らない所で、そんな事になっていたなんて。


全部、あたしのせいだ…。


あたしの興味本位から始まった霧生くんとの関係が、こんなにたくさんの人を苦しめていたんだ。


そう思ったら、体中が震えて止まらない。


それに霧生が自殺してた?


もう会う事も出来ないなんて…。


「…ねぇ、お兄さん。」


小さくつぶやいた。


「どうした?」


お兄さんはうつむいていた顔を不思議そうに上げた。


「その…どこまで犯人分ったの?」


「犯人どころか、手がかりすら掴めなかった。唯一つかめた情報は、お姉さん達の勤務していた病院は、ちょっと変わってるって事だけ。」


「…ちょっと…変わってる?」


虚ろな目でお兄さんを見た。


「あぁ…。院長の娘に関わると、大変な目に会うって事。」


「…ご…ごめんな…さい…。」


虚ろな目から、いつの間にか涙が溢れていた。


「どうしたんだよ?キミが泣く事ないだろ?」


お兄さんは、慌てながらティッシュを差し出した。