その断定が一人歩きをしてしまい
『お姉さんは襲われたのじゃなく、男遊びのもつれから殺された。』
『仕事のストレスで、男を買っていた。』
そんな噂話ばかりが町に広がっていった。
それを耳にしたオレの両親は、そんな家の娘との結婚を許さなくなった。
当然だ。
田舎町からすれば、そんな噂を立てられたら、住んでなんかいられなくなる。
まして変な噂の家と関わったら、自分達も同じように変な目で見られるのは分かってる。
---田舎町の怖い所だ。
婚約者も泣く泣く自分から、結婚できないと言ってきた。
噂の事もあるし。
自分たちは被害者なだけど引っ越して、知らない土地で静かに暮らしたいと…。
噂に耐えられないから…。
「オレが一緒に引っ越す。オレはそんな理由で別れたくない!!」
オレは何度も引き止めた。
しかし、引越しの本当の理由はそんなんじゃなかった。
噂が噂を呼んで、彼女自身が何度も襲われそうになっていた。
「遊び人の妹。」
「姉妹で男を漁ってる。」
いつしか、そんな噂が立つようになっていて。
家から出られなくなっていたらしい。
そんな事にも、オレは気付かないままだった。
オレはお姉さんの犯人さえ分れば、全てが解決すると思ってたから。
1人でお姉さんのいた街に初めて行ってみた。
彼氏と一緒に働いていた病院も…。



