---9時を少し回った頃だった。


ガッチャ!!


玄関が開く音と共に


「お待たせ。」


店員さんが帰ってきた。


「ありがとうございました。」


鍵を渡して家を出ようとした。


「待ってよ。少し話していいかな?」


振り返ると、店員さんが悲しそうな顔でジッと見てる。


「話って?」


「…その、アルバムの事。」


「もう、いいんです。あの人の実家に今から行って、どこにいるか聞いてくればいいし。」


「どうしても、聞いて欲しいんだ。…思い出しちゃってさ。」


「思い出しちゃったって?」


「このアルバムをどうして持っているか…。何故か知らないけど、偶然見つけた君に話したいんだ。」



どうしてあたしに?


見ず知らずのあたしなの?


だけど、お兄さんの顔は真剣で。


「分った…。」


お兄さんの真剣さに『NO』とは言えなかった。