本当にコンビニの店員さんの家は近かった。



---歩いて3分。



普通のアパート。


音を立てないように、忍び足で2階の真ん中の部屋の前に立った。


表札は書かれてない。


恐る恐る周りを見渡し、ゆっくりと鍵を開けてドアを開いた。


そ~と中を見ながらドアを開けると、ワンルームの部屋。


カーテンのかかっていないベランダの窓から、月明かりが部屋の中を照らしている。


ダンボールがそこらじゅうに置いてある。


本当に引っ越してきたばかりだったんだ。


まだ安心できない。


どこかに誰かが隠れているかもしれないから。


ゆ~っくり歩いて部屋の中に入る。


---バンッ!!!!


勢いよくトイレのドアを開けた。


暗闇に目が慣れてきたから、誰もいないのがハッキリと分った。


次にお風呂のドアを開けたけど誰もいない。


クローゼットも確認。


誰もいない。


本当にお人好しな人だったんだ…。


ホッと安心すると、ドアに鍵を閉めチェーンを付けて電気をつけた。


そして、おにぎりを片手に引っ越してきたばかりの荷物を漁ってみた。


難しそうな参考書がいっぱい入ったダンボール。


あとは服とかだけ。


「なんだ、つまんないの!!」


なんて意味もなくつぶやいた。