その日は洋服はドロドロ、腕や顔や足はすり傷だらけ。


なんとも悲惨な格好でホテルに帰った。


すぐにシャワーを浴びて、洋服はゴミ箱に入れた。


この服を見ると今日の事を思い出しそうだから。


シャワーのお湯が傷にしみて。


痛いんだか?


辛いのだか?


涙が溢れてしょうがない。


お兄ちゃんじゃなかった喜びと安心感。


それが一番大きかった。


また家に連れ戻されなくて済むから。


あんな生活には耐えられない。


思い出すだけで、切り裂くような痛みが心の中に走る。


ゾクゾクと、寒気が全身を駆け巡って。


目眩のような感覚と、ガンガンと頭の中からカチ割られるような痛み。


立っている事すら不可能。


なんとか気力を振り絞って、ベッドまでたどり着くような状態。


濡れた髪が顔にまとわりつく。


そのベタベタした感覚で顔が痒くなる。


「あぁ~!!もうっ!!!」


大きな声を上げ、頭から布団をかぶった。