「……」
一人、図書室のとあるコーナーに残された私は呆然としていた。
さっき起こった事がまだ信じられなくて。
一瞬だったのに、その感触はまだ鮮やかで。
心臓は壊れそうなくらいにドキドキしている。
―――私にとっての、ファーストキス。
「誰も来なくて良かった……」
頭を過るのは、そんな人目を気にするような事だったりする。
あの時、ぐっと唇を押し付けてきた西園寺くんはゆっくり離れると、何事もなかった様な顔で図書室を後にした。
私は驚きに目を見開いたままで。
しばらく時間が経って、自分の身に何が起こったのか分かった。



