(喰ってやろう…か…)
ほんの少しだけコツの様な物を掴んだ惣が玄関を開ける。
「惣か?早かったな…」
リビングでは穂群が珍しくテレビを観ていた。
「ただいま…何観てたの?珍しい」
「いや…今日は何事も無く過ごせてな…息抜きに観ていた…都織が出てた…」
「そう?面白かった?」
「似た様な顔をした似た様な髪型の者達が出てて人物を把握するだけで終わった」
都織の言っていたアイドル達の事だろうか?
穂群の感想に惣は苦笑いする。
「そうか…じゃあ、今日は現れななかったんだ?」
「… …」
ソファーの穂群からの返事は無い。
「穂群?」
キッチンから惣が顔を出す。
「ああ…現れるスキが無くてな…故に、お前に会いに来た…惣」
「…桜志郎…」


