と思えば、案外すんなりと顔を上げた。 思わずホッとするトレイシー警部。 「…ッ!!」 …が、アネリの顔を見た瞬間、トレイシー警部は言いようのない恐怖を覚えた。 アネリが、今まで見せたことのないくらい、怒りに包まれた冷たい表情をしていたのだ。 つっけんどん、なんていう生温いものじゃない。 肉食動物のように吊り上げられた目は、気を抜いたら敵味方関係なく飛び掛かりそうな危うさを秘めている。