「ほら。早く行きなさい」 「お、お母さん」 「咲、素直になりな」 そう言って背中を押されて奏太くんの目の前に行かされる。 「よっ、咲。」 「遅刻かと思った」 「弟の結婚式に遅刻するバカ兄がいるかっつーの。」 奏太くんはあたしの頭に温かい手をのせる。 クセなのかな?? 「事故にあったかと思ったぁ!!」 「遭わないから。泣くな。てか、座れ。」 泣き出したあたしをあやしながら自分の隣の席に座らす。 手、繋いでる。 右手にある温もりに気づいた。