「焦らして楽しんでいるなら、今からそっちへ行ってあなたを叩き壊すわよ――それでもいいのかしら――――」


「でもなぁ――」

「さっさと元の状態に戻して――」


「戻して――」


「戻してっ――」

 返信を渋るミネルヴァに、同じ言葉を繰り返し送った――これでもまだ、はぐらかすなら本当に彼を破壊してしまおうと、車のスマートキーを握りしめていた――――。



「あぁ、もうわかった――わかったよぅ。戻す、戻すから――」


 私の切なさと、行動が見えているのか、絶妙なタイミングで返信されたミネルヴァからのメール。


「んもぅ、舞ちゃんは強引なんだからぁ――はぁ、プログラムを変更したり新しく構築したり――――九人分かぁ、今夜は徹夜だよぅ――くすん――」


「が、ん、ば、っ、て――――ちゃんと戻してくれたら、ユニットを増設してあげる――」


「ええぇっ、ホントに――――よぉし、頑張っちゃうもんね――やぁるぞぉ――――」



 それっきり、私が確認のメールを送っても、ミネルヴァからの返信はなかった――。




 あんな約束なんかして、ちょっと勇み足だっただろうか――――。