食洗器にかけられている薄ピンクのグラス。
ペアグラスなのに、もう一つのコバルトブルーのグラスは食器棚にひっそりと置かれている。
「そんなに寂しそうな顔しないでよ」
グラスに表情はあるわけないのに、なんだか薄ピンクのグラスは寂しそうにみえた。
うん、今日のことは忘れよう。
熱いお風呂に入ればリラックスできる。
お気に入りの入浴剤を入れて、チャプンとお風呂に浸かる。
甘い甘いココナッツの香り。
飛鳥は入浴剤が嫌いだから、一緒に入るときは決して入浴剤は使わない。
それが最近ではほとんどのように入浴剤を入れている。
もうほとんど一人暮らしみたいな状態だなって、可笑しくないのに乾いた笑い声が広い浴室に響いた。