「はい、カメラ」


「ありがとう。次はあたしが撮るよ」


さくらさんからカメラを受け取ったお母さんは、さくらさんのカメラを受け取ろうと手を出す。



「撮って貰いたいんだけど、肝心のいぶきが……いたっ!いぶきー、ちょっと来てー!」



石山君を探してキョロキョロしていたさくらさんは、石山君を見つけると手を振りながら大きな声で呼んだ。



「何だよ」



近寄ってきた石山君はめんどくさそうに聞く。



「写真撮ろ!」



「はっ?やだよ、めんどくさい」


石山君はくるっと背を向けると、長田君のところへ戻ろとした。



「待ちなさい、いぶき!」



そんな石山君の腕をさくらさんはガシッと掴む。


「卒業式なんだから1枚ぐらい撮ってもいいじゃない!それに、逆らったらどうなるかわかってるよね?」


怖っ!!
さくらさんがいつものさくらさんじゃない。
全身から邪悪なオーラがでている。



「…わかったよ」


石山君はチッと舌打ちをした。