目を見開いて本気で驚いていた。

「マジで飛んでくるなら怖くて試合見に行けないよ!?」

「桜がボール捕れば問題なし」

俺がそういうと急に桜は吹き出し笑う。腰まで延びる黒蜜のような髪が桜の動きにあわせて波打つ。

「あははは。そのために練習するのもいいかもね」

と満開の笑みを向けられた。

「ねね、今グローブ二つ持ってない?」

「あるっちゃあるけど、キャッチャーミットと普通のが」

「んじゃ普通の貸してーキャッチボールやろ」

「早速すぎないか!?まて、今二つとも使ったばかりで汚れてるし、はじめから硬球は、危険だ!後家の中でやるならなおさらな!」

「えー大丈夫だよ。」

「いや、今日はやめておこぜ?明日はしっかりと準備してくるからさ」

「むぅー」

ぷくぅっとほっぺをリスのように膨らませてむくれてしまう。

「明日はしっかりやってやるからさ」

「うん」

話が途切れたのを、見計らったようなタイミングで二回こんこんっとノックする音が聞こえた。実際ずっと待っていたのかもしれない。

「入ってもいいかい?」

「いいよー」

桜は桜の母さんに応答し、桜の母さんはドアをあけて入ってくる。