○


さて、スタメンから落とされ、ボールを取りにきた俺。

今、俺が窓を割ってしまったであろう家の前に立っている。なぜわかるかって?理由は簡単。グラウンド側にある二階の窓が割れているからである。

にしてもよくまぁこんなに飛ばせたなー。我ながらすごいと思う。

ま、そんな思いに浸ってないで、ボールを取りに行かないと。

いざ玄関の前に立ってみるとやはり緊張と不安がこみ上げてくる。心臓が飛び出てきそうだ。

ぴんぽーん

インターホンを鳴らすと家の中から足音が聞こえてくる。その足音は穏やかな音のように聞こえる。

脱帽し謝る気満万で待つ。

「はい?」

「先ほどはすいません!あなた様の家の窓を割ってしまい深く反省しています。これからは気をつけます。本当にすいませんでした!」

この家からでてきた人にとりあえず全力で頭を下げて謝った。

「あなたがホームランを打ったのかしら?」

と、優しい尖ったところのないまるみのある言葉をかけられた。

「はいそうです」

「すごいわねーまだここに住んでから一度も飛んできたことなかったわ」

「ありがとうございます」

褒められたのだから素直にお礼を言う。