朝がきた。

天気は快晴。

悪くない朝だ。

制服に着替え、顔を洗い、あちこちにはねた寝癖を直し、パンをくわえ家を出る。

学校まで約30分。

春の風を頬で感じながら歩く。

たまには自転車もいいかなとは思うけど、残念ながら私は乗れない。

ま、とりあえず学校に到着。

実は朝、朝練(自主練)をやるため結構早めにくる。

いる生徒は、野球部か陸上部かサッカー部。

弓道は朝練というシステムはない。

私は部室へ行き、道着に着替え練習場へ。

しっかり先生からも許可を取っている。


とにかく弓を構え、的を狙う。

射る、構える、射る、構える、射るの繰り返し。

的の中心付近には当たるけど、まだ中心に当らなかった。

練習場には矢が的に刺さる音だけを響かせていた。

「ラスト」

そう口に出し、的の中心に集中する。

ラスト一本を構え、射る。

放った矢は本の少し弧を描き吸い込まれるように、的の中心へ刺さった。

「よし」

この最後で中心を射抜けるのは気持ちがいい。

すると練習場の外から拍手が聞こえた。