春。
雲一つない青空に木々の青々しい若葉や新芽が、桜の花も映える季節。
俺はその空、木、桜が一面に広がっている公園のベンチで寝ていた。寝ているから空も見えるというわけだ。
心地よい風が吹き抜け、だんだんと眠気が襲ってくる。ま、昼寝のために来たから逆らう必要もないから目を閉じた。
家でも別にいいのだが家には五月蠅い義妹が二人居る。彼女たちは双子で髪がの長さくらいでしか見分けがつかない。
妹と言っても歳は同じなんだけど。
さっきまで心地よく当たっていた日の光が隠される。まさか。
「探したよお義兄ちゃん!」
「そう呼ぶな。恥ずかしいだろ」
「はいはい。綾」
家で昼寝の出来ない原因を八割持っている双子の姉、紗那だ。
こいつは元気すぎて五月蠅いうえにお節介で他人優先。とにかく騒がしい阿呆。
「なんかすごくバカにされている気がするんだけど?」
「気のせいだろ。バカは元々だし」
「あーひっどー!綾みたいに前髪で目を隠す暗い人間よりましですぅー」
「よけいなお世話だ」
「もぅ。かっこいい顔してるんだから隠さなくてもいいのになー」