新学期早々話しかけられた。

彼は何か他の人と違って思えてしまう。


でも今日は彼とはあれ以外に話さなかった。


帰り道校門を出ようとすると、

「依紗那!どう新クラスは?」

「別に。なにも変わらない」

「そかー私は担任が最悪でさー」

彼女は白石 唯(しらいし ゆい)。

私の友人で、とてもうるさく話し好き。

彼女と帰り道を歩いていると、不意に風が通った。

そのときに肩をたたかれ、

「じゃぁな」

と風から聞こえた。

風の正体は自転車に乗った彼。

隣の席の暁君だった。

「あ、じゃ」

と驚きのあまりカクカクした動きで、右手をあげ、一言つぶやく。

彼に聞こえたか不安だったが、彼も驚いたらしく、一瞬止まったがすぐに微笑み、前を向いて走り去った。

ぽかーんとその様子を眺めていた彼女。

「ちょ、ちょっと!何で依紗那、学園で人気の高い一条さんに話しかけられてるの!?」

「わからない。席が隣だからかな?てか暁君って人気あったんだ」

「隣の席!?羨ましー。あのルックスに、明るく社交的で、家庭的な一面を持つから人気すごい高いよ!ってか暁君!?」

「名前違った?」