一見静かに真面目に受けているようだが、ノートのはしに落書きしたり、教科書に料理本を挟んで読んでいる男子もいれば、何やら手紙をやり取りしている男女も居たり、完全に教科書をたてて寝ている人もいる。
隣の暁君は先生の方に顔を向けているが、
「依紗那、腹へらね?3時間目なのに胃の中空っぽなんだが」
と腹を抱えている。確かにだんだんお腹がへってきた。
「そうだね。今日の定食なんだろ。」
「俺今日カツカレーにするぜ。無性に食いたくなった。あの熱々で辛口のルーとサクサクのカツが!」
「そうなんだ。」
という感じの会話を小声でしている。顔は先生の方を向いたまま1ミリも動いていないだろう。
さすがに授業を真面目に受け続けるのはきつい。まぁ真面目に受けることの方が少ないけど。
☆
さぁ昼休み。
学食へ行き日替わり定食を確認。今日は焼き魚とサラダだ。
食券を買い、定食を受け取り、いつもの席へ。
もう毎日この行動を続けているので目を瞑ったままでも出来そうなくらいになってきている。
まぁやることはないと思うけど。
「ここいいか?」
暁君が向かいの席の前にたって居て聞いてくる。