始めから居たのか。

私が集中して周りが見えないのか、暁君の存在感がないのか・・・。

「前は手を抜いてたのか?」

「まぁ。疲れるし。」

「確かにスゲー集中してたもんな。俺ここで飛んだり跳ねたりしてたが気づいてなかったもんな」

そんなことまでしてたの!?

なんか悪いことした気分。

「今日はもうやらないのか?矢がないし」

「うん。週明けはいつもこれだけ。」

「そうなんだ」

というわけで片づけを始める。

週明けはしっかりと狙えるかのチェック程度。

今日も問題なし。


     ★


今日の3時間目の授業で暁君は教科書を忘れた。

「すまんが依紗那見せてくれ」

「うん。」

机をくっつけると周りから囁き声や、視線が地味に痛く感じる。

何故だろう。

「はい、じゃ教科書開いてー」

先生の声に応じ、皆教科書を開く。

私も教科書を開き、暁君よりに教科書を机の上に置いた。

先生がいろいろと話しているが、周りの生徒はあまり集中していない様子。